2022年になって人気に火が付いた「レバナス」
レバナスの概要、運用するメリット、留意すべきリスクについてまとめました。
レバナスを知らない方も、この記事を見て理解できるようになれば嬉しいです。
なお、記事内の図表は楽天証券のホームページより引用しています。
概要
種類
レバナスは2022年1月現在、2種類あります。
①大和アセットマネジメントが提供している「iFreeレバレッジ NASDAQ100」
②楽天証券が提供している「楽天レバレッジNASDAQ-100」
①は2018年10月19日から運用開始されています。
②は2021年11月17日に運用開始という真新しさ。2022年から急激にレバナスが流行しているのはこの楽天レバレッジNASDAQ-100がきっかけになっているようです。
どちらも投資信託となっており、NASDAQ-100指数の値動きに対してほぼ2倍の値動きになるように設定されています。
この記事では②の「楽天レバレッジNASDAQ-100」に焦点を当てて考察していきます。
楽天レバレッジNASDAQ-100
NASDAQ-100指数
NASDAQは世界最大のベンチャー企業が揃っている株式市場です。
規模は別次元ですが、日本でいうところのマザーズ(今のグロース市場)ですね。
NASDAQ-100はアメリカのNASDAQ社が算出しており、NASDAQ市場に上場している代表的な100社を選出しています。
指数には以下のような企業が入っています。
アルファベット(グーグル)、アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、テスラ、ネットフリックス、ズーム・・・。
知名度や実績、成長性に長けている企業が目白押しですね。
NASDAQ-100指数のパフォーマンス
NASDAQ-100指数は1985年1月31日より算出されています。
「1991年10月31日時点を100とした時の、1991年10月31日~2021年10月29日の間のパフォーマンス」が楽天証券のページに掲載されています。
これを見るととてつもない上昇となっていることが分かりますね。
積立シミュレーション
楽天証券のページには
・毎月末に3万円ずつ、20年間積立
・投資対象は「NASDAQ-100指数」の2倍レバレッジとレバレッジなし
についてのチャートが載っています。
このチャートから、投資元本720万円がレバレッジなしだと4580万円、レバレッジ2倍だと1億9700万円になることが分かります。
20年間続けていたら700万円が約2億円に!とてつもなく魅力的に見えます。
しかし個人的に注目したいのは次に示す緑丸と青丸の期間です。
緑丸の期間では6000万円を超えたところから4000万前後まで暴落しています。
割合でいうと実に-30%超え。10数年積み立てて築いた6000万円が一気に4000万円まで減った時に冷静でいられるでしょうか。
そして青丸の期間。1億円付近から5000万円付近までの大暴落があったようです。
下落率はなんと-50%に。積み上げてきたものが半分になるという恐ろしい時期もあったんですね。
シミュレーションでは資産が27倍まで膨れ上がることが強調されていますが、全く動じない心がなければいけませんね。
次より、レバナスのメリットとリスクについて考察していきます。
メリット
レバレッジによる爆発的な資産増が見込める
レバナスの最大の魅力はなんと言ってもレバレッジがかかっていること。
NASDAQ-100の値動きの約2倍に動くので、上昇した時の勢いは相当なパワーとなります。
分散投資になる
先述した通り、NASDAQ-100は選び抜かれた100社が対象となっています。
そのため分散投資の側面もあります。
知名度や実績に優れた企業ばかりなので、一定の信頼は置けるでしょう。
次はリスクについてです。
リスク
レバレッジをかけた商品である
レバナスの最大の魅力であり最大のリスク、それはレバレッジがかかっているということです。
投資の世界においては、ハイリターンの裏にハイリスクが潜んでいます。
緑丸や青丸で示したように、下落局面においては想像を超える勢いで資産が減少する危険性もあるため、レバレッジというのは最大の長所であり欠点でもあるというのが個人的な感想です。
減価がある
個人的にはこれが大きなネックだと考えています。
1日毎に基準となるNASDAQ-100指数の値は変動しますが、商品の性質上、レバナスは時間が経てば経つほど価値が下がります。
特にNASDAQ-100が上昇・下落を繰り返すと(≒ボックス相場)その影響が顕著になります。
ちなみに、日経平均株価の変動額のマイナス2倍に動く(1357)日経平均ダブルインバースなども同じ性質を持っています。
楽天証券のページから分かりやすい図表を引用します。
この説明の間、NASDAQ-100をNASと表記します。
基準となる日を100とした時、1日後にNASが10%上昇すると110になりますね。
そしてレバナスは2倍の動きをするので20%の上昇となり120に。
2日後にNASが9.1%下落するとNASは元の100に戻り、レバナスは2倍の18.2%下落して98.2になります。
この時点で既にズレが生じていますね。NASはトントンになっただけですが、レバナスは損失になっています。これが減価です。
同じように3日後、4日後と見ていくとNASは100のままですが、レバナスは96となり損失が広がっています。
NASが連日10%動くのは非現実的ではありますが、たった4日間の上下でここまでズレが生じるのは意外と感じた方も多いのではないでしょうか。
100万円だったら96万円になるわけですから、4%のズレも馬鹿にはできません。
現実としては+1%⇒-1.5%⇒-0.3%⇒+1.2%のように細かく上下していきますが、期間が長ければ長いほど減価の影響は着実に溜まっていきます。
そのため、レバナスは長期運用に向いていないというのが個人的見解です。
どちらかというと、短期で一気に利幅を取るタイプかなと思います。
運用管理費用(信託報酬)がかかる
信託報酬とは、このレバナスの運用や管理にかかる費用です。
楽天レバレッジNASDAQ-100の信託報酬は0.77%となっており、レバナスの保有期間中、保有しているレバナス自体から差し引かれています。
つまり、感覚的には費用がかかっていることが見えづらいという性質があります。
運用する上では、常にこの費用がかかっている点も見逃せません。
まとめ
レバナスの概要・メリット・リスクについてまとめましたが、少しでも商品への理解が深まれば嬉しいです。
この記事はレバナスを推奨するわけでも批判するわけでもないので、その点をご了承下さい。
また、運用に関してはご自身で調べた上で決断するようお願い致します。
ちなみに、楽天レバレッジNASDAQ-100は2021年11月17日より設定されていますが
設定来高値は10322円(2021.11.22)
設定来安値は6068円(2022.4.28現在)
となっています。
この記事は随時修正や更新をしていきます。
【 最終更新2022年5月1日 】